おくりびと

©映画 「おくりびと」製作委員会
人は誰でもいつか、おくりびと、おくられびと
本木雅弘が雑誌「ダ・ヴィンチ」でも紹介していた、青木新門『納棺夫日記』の映画化。チェロを弾く新人納棺師が人間として成長していく姿を描く。本木サイドからの映画化は「双生児」でもわかる通り、非常にインパクトの強いものとなることが期待される。また「料理の鉄人」等で知られる放送作家・小山薫堂が初の映画脚本に挑戦し、原作をどう仕立て上げるか?ということでも大注目の作品である。
あなたは大切な人を、どう“おくり”ますか? そしてどう“おくられたい”ですか?すべての人に普遍的なテーマを通して、夫婦の愛、わが子への無償の愛、父や母、肉親への想い、友情や仕事への矜持などを描き出す本作が、観るものに笑いと涙、そして大きな感動を、必ずや与えてくれることでしょう。
モントリオール世界映画祭グランプリ。中国「金鶏百花映画祭」作品、監督、主演男優賞受賞。第81回米国アカデミー賞最優秀外国語映画賞部門日本出品作品。第28回ルイ・ヴィトン・ハワイ国際映画祭 観客賞。第33回報知映画賞 作品賞。第21回日刊スポーツ映画大賞 監督賞・作品賞。第30回ヨコハマ映画祭 作品賞・監督賞・助演女優賞・ベスト10第1位。第82回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベストワン・主演男優賞・日本映画脚本賞・日本映画監督賞。
Comments
人に対する「思いやりの気持ち」が全編通して感じられる映画だと思います。重いテーマですが、笑いの要素もきっちりあって、あっという間に時間が経ってしまう感覚がありました。山形の景色の中で久石譲さんの曲が流れ、本木氏がチェロを弾くシーンは本当に美しいシーンで印象的です。
これまでに様々なタイプの本木演技があったと思いますが、この映画では全部詰まってる気がします。人の最期がテーマですが、決してお涙頂戴なものではなく、人間の暖かい気持ちが伝わってきて、なんとも表現しがたい感情が沸いてきます。
モントリオール国際映画祭グランプリとのことですが、あの本木氏の納棺の所作は外国人にとっては、特に興味深く美しいものに映ったのではないでしょうか。多くの方に観てもらいたい映画です。
以前は自身の事を「リアリティのない役者」と語っていましたが、今回こういうリアル直球勝負みたいな作品を演じきっているのを見ると、役者としていよいよ完成の域に近づいているのかなという気がします。
今年祖母を亡くし、途中その時の事が蘇ってきて涙が止まらなくなってしまいました。
私も最期は本木さんのような納棺師に送ってほしいです。
本木さんすばらしい演技ありがとうございました。本当に感動しました!
本木氏の役作りは前評判どおりの出来で、山崎努さんとの軽妙なやりとり、広末妻とのビジュアルのマッチング、少し幼い部分も残している主人公のキャラクターの映画全体をとおした一貫性など、masterの感想にもあるとおり、最近の本木氏の俳優としての安定感を感じる作品だと思います。
部分的には、本木・広末が夫婦で食事する場面で、まるで日常の一こまそのもののような空気感のあるシーンがあって、二人でよく話をしたという事でしたから、試みが成功したんだなあと思いました。それも含めて、妻役は広末涼子さんで成功だなあとも思いました。
ただ、映画全体としてこれはどうなんだろう?と思うと、自分的には、ビミョー・・でした。生と死というテーマの重さを取り除いてしまうと、実は密度は薄い映画なのでは無いでしょうか?すべて合理的な説明がなされていて、登場人物はここで泣くだろうと思うところで泣き、ここでこう言うだろうというところでそういうセリフを言う予定調和の世界から出て来ず、「え?どうして?」と観客がとまどって考えさせられる余地が無い。
難しい題材だとは思いますが、テーマと映画に乖離があるなとも思いました。このまとめ方をするならこの題材である必要が無かったのではないか?原作とは違い、映画の作り手は、あまり死者(死体)を見ていない気がする。それが、原作と映画との間の、決定的な質の差になっていると思います。全国公開の松竹映画で原作の描写は直接は無理だとしても、何かもっと原作に少しでも肉薄する方法があったのでは無いか?
最後に、なぜ原作は「納棺夫」なのに映画では「納棺師」と表記したのかも気になりました。内田裕也をロックンローラーと呼ぶかアーティストと呼ぶかに近い(・・ちょっと違うか(笑))、ニュアンスの差異があると思います。おそらく、「農夫・坑夫・人夫」など無名の肉体労働者を連想させる「夫」よりも、敬意をこめて「・・師」としたのかと思いますが、著者が「納棺夫」と自称しているのだし、劇中、広末妻が理解するようになったのは、「師」ではなく「夫」である主人公であって欲しいと思いました。
映画見てきました。
序盤の”業務用ムービー”の所で笑い過ぎて「涙」が出ました・・
そのまま、涙モードに突入してしまった。
何だかよく分からないけど、涙が止まらない。
自分が何に泣いているのかわからない。
でも、涙が止まらない。
ストーリーは全てが予定調和で、あってないようなもの?でした。
しかし、主人公達が発する「深い言葉」と「美しい映像」の数々。
『俺もいつか死ぬ。君もいつか死ぬ。
それは、普通のことだろう。』と。
公開前から「誰もが感動する名作」のような位置に立たされてしまったことが、かわいそうかなと。
この映画はそんな映画ではなかったような・・
もっと目立たず公開されて、「密かな隠れた名作」になっていたのではないかと。。
シナリオ10月号に『おくりびと』が掲載されていますので、興味がある方は是非。カットされている部分も多々あり、唐突に思えたシーンも全て納得がいきました。もっと深くて完成されたおくりびとでした。もし撮影されていたとしたら、是非『完全版おくりびと』が見たいです!
母親を誘って観てきました。モックンがあまりに心のこもった表情や動きをするものだから、これ以上泣かせないでぇ~!とずっとこらえながら観ていたのです。ほんとに素晴らしい俳優になられた!見終わったあと母の顔を見ると母の頬も涙に濡れていて、二人で同時によかったね~!と笑いながら口に出したときに、ほんとにこの映画に出会えて良かったと思いました。笑いの涙・感動の涙二つ流して心が綺麗になった気がします。予想以上に素敵な映画でしたよ!
愛するものの死、遺族の悲しみや戸惑い、永遠の別れ、あの世での再会、来世でも契りあう。葬儀での個々の付き合い方で思いは違います。納棺師はほとんどがご遺体とは初対面、一般参列者にも遺族の関係者にそういう方達がみえます。いわば他人、遺体も死体にすぎない。葬儀屋さんにも合掌しないで「仕事」した人がいました。
食欲性欲・・・生きている証。山崎努さん旨そう!出演者皆さんに見せ場があり、全員がある意味主役、語らない死者も無言で葬儀の主役です。
山形・月山が遠くに霞んで見え堤防でチェロを弾く大悟の姿が良く心を表現していました。父に「納棺師」としての仕事する無表情の涙がミゴト!俺には彼の仕事ぶりは茶道の所作と言うより雅楽の舞人に観えました。
久しぶりに泣きました。
(*当サイト動画メディアページに寄せられたコメントですが、素晴らしい感想だったため、こちらに転載させてもらいました)by webmaster
本日、観て来ました。
モッくんのファンですが、辛口な事を書かずにいられません。
この映画は、納棺師という仕事のすばらしさを表現する事が大きな目的としてあるのだと解釈しています。
納棺師という仕事が差別や偏見のまなざしで見られる事に対して、そうではないんだよというメッセージがあると。
その事については、とてもよく伝わりました。私も祖父が亡くなった時、葬儀屋さんや町内会の方が遺体を粗末に扱った事に子ども心に痛みを感じ、20数年経った今でも、嫌な気持ちは残っていますので、このような仕事をされる方がいらっしゃる事を知って、嬉しくも思いました。
でも!でも!です。
納棺師への差別や偏見意識を取り除くために、他の差別や偏見に苦しんでいる属性の方を揶揄するような表現はどうなんでしょうか?
映画の冒頭での、トランス・セクシュアルの方の遺体の描き方は、どう考えても「笑わせる為」です。いくら、本来の性である女性として化粧をするシーンがあっても、親が認めるシーンがあっても、それは帳消しにはならないと思います。
差別問題を扱う時、残念ながらしばしば見受けられる手法です。
他のシーンは、綺麗事に思えるシーンも正直ありましたが、それは人それぞれ感じ方が違うだろうなと思いました。
でも、この冒頭のシーンだけは私は間違った手法だったと思い、ここに書かせて頂きます。
私は看護師です。
映画館で見ては泣き、TV放送でもみて泣きました。
何に泣いたかというと、主に納棺師という仕事に始めは本人も違和感を感じながら
続けていたのに、納棺に携わる間に次第にプロ意識に目覚めていくというところと、
個別的な納棺(生前の故人を思い遣った形で納棺を行うところ)です。
そこには社長(山崎勉さん)の影響が多分にありました。奥様を亡くされた経験から、
納棺という職業を、天国へ送り出すという尊い仕事へと導いたのですから。
納棺師という職業は「けがわらしい」職業という印象だったのでしょうか。
山形(山形でなくてもいわゆる田舎)という土地柄は「おしん」でも知られている
ような辛抱の土地柄であったり、納棺師への偏見もひとしお強い土地柄だったので
しょう。そのような人たちを通して、故人を尊重した納棺を行う行為を見て、納棺師
に大反対だった妻や納棺師を差別的な眼差しで見ていた友人の、納棺師に対する
見方が劇的に変わりました。
プロ意識は始めから存在するものではありません。経験と導いてくれる誰か(上司
であったり、友人であったり)の存在が、大きく影響しているものだと感じます。
私は若手看護師を教育する立場にあります。プロ意識や個別的な看護、患者さんを
思いやった看護が提供できるように、「おくりびと」を通して人間の真髄を伝えて
いきたいと切に感じました。
時々映し出された季節の山々や雪の田んぼ、タンポポの咲く緑の土手なども、懐かしい
風景として心に残っています。
元木さんの作品に向き合う真摯な姿勢も見てとれました。今後のご活躍を期待して
います。
このようにコメントするなんて、私にはなかった経験です。どうしても伝えたく、
コメントさせていただきました。
あなたの感想、レヴュー等をお待ちしています