夏目家の食卓

©TBS,KANOX
みんなでよく食べたから、夏目家の台所は火の車
おかしな夫婦の愛と涙のストーリー。 二つの小説ー夏目漱石の孫、半藤末利子が執筆したエッセイ「夏目家の糠みそ」、そして悪妻として有名だった妻・鏡子がその視点から綴った「漱石の思い出」を題材に夏目家とそこに集る滑稽で愛すべき人々が繰り広げる日常をドラマ化。久世光彦最後の演出となった作品。
- キャスト
- 宮沢りえ
- 本木雅弘
- 岸部一徳
- 勝村政信
- 豊原功補
- 長友啓典
- すまけい
- 木内みどり
- 竹中直人
- 真行寺君枝
- 松金よね子
- 岸田今日子
- 樹木希林
- 原作
- 夏目鏡子『漱石の思い出』(文春文庫刊)
半藤末利子『夏目家の糠みそ』(PHP 研究所刊) - 演出
- 久世光彦
- 脚本
- 筒井ともみ
- 音楽
- 都倉俊一
- 編成担当
- 寺島麻由
- プロデューサー
- 三浦寛二
- 製作
- KANOX、TBS
Comments
2005年はモックンで始まる良い年初めとなりました。「頭の中に棲む虫」の表現がモックン適役!でしたね。途中、伊右衛門のCMが入って、その後に漱石・鏡子の夫婦喧嘩のシーンを見ると、切なくて止めに入りたくなりました。
もともと好きでしたが、このドラマを見てから「卵かけご飯」を一層愛するようになりました。
「吾輩は猫である」も再読しました。それから、千円札のことも、今までより大事に扱うようにしよう・・・と思ったら新札は野口英世でしたね。(笑)
私にとって、モックンはそういう存在です。
久世光彦ディレクターの遺作になってしまいましたね。長い事自分の中のベスト本木ドラマは「お玉・幸造夫婦です」という本木雅弘非主演のマニアックな作品が君臨していましたが、この「夏目家の食卓」が僅かに超えたかな?同点かな?という感があります。
久世さんの演出は、本木雅弘出演のドラマ以外でも、痒い所に手が届くというか、ツボに嵌る事が多く、正常に評価できないほどに好きですね。久世光彦×向田邦子の黄金時代をリアルタイムで感じることができない時代に生まれたことを恨めしく思います。
夏目家の食卓、何がイイのか?と訊かれれば「全部」と答えざるを得ません(笑)。本木=漱石の全く迷いがない吹っ切れた演技(これは他の久世演出でも感じます)、そしてなんといっても宮沢りえさんとのバランスが絶妙。パズルのピースとピースがピッタリ合うかのような気持ち良さがあります。嗚呼、美しきかな日本の夫婦愛。また、妻・鏡子(宮沢さん)の視点でドラマが進んでいくというのも、彼にとって得意のパターンに持ち込んで存分にやれたのではないかと思います。
主演以外の役者さんもツワモノ揃いで、史実中の人物、小説の中の人物、謎の人物が入り乱れて、なんとも不思議な世界を作りだしています。特に岸部一徳さん演じる迷亭と、樹木希林さん演じる穴太(あのう)婦人の怪しさは必見でしょう。個人的には書生役の海部剛史さんで何故か笑いました。
上記こなみさんの感想にもありますが、「卵かけご飯」を食べたくなること必至です。見れば見るほど深く、感想を書いているだけで顔が緩んできて、ワタクシにとってまさにArkhaiomelisidonophunikheratosなドラマです。
「あれが噂の九段の猫か?」
「いやここは千駄木だ。」
この笑いを得るため
実際に夏目漱石のルーツを
歩んでしまう程のドラマでした。
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