日本のいちばん長い日

©映画 「日本のいちばん長い日」製作委員会

1945年8月15日、終戦。その前夜、日本で何が起こったのか。戦後70年の時を経て、今、明かされる真実。

混迷極める太平洋戦争末期の日本において国の行く末を模索する人々の姿を描いた、半藤一利のノンフィクション小説を映画化。陸軍大臣、天皇陛下、総理大臣など閣議に参加した人々の姿と、クーデターを企む青年将校たちの姿が描かれる


キャスト
役所広司
本木雅弘
山崎努
堤真一
ほか
監督・脚本
原田眞人
音楽
富貴晴美
原作
半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』
公式サイト
映画『日本のいちばん長い日』公式サイト

評価

評価の平均
(得票数 2)

Comments

1
都 こんぶ 2015-08-14 (金) 08:24

 原田監督作品で、まともに映画館で見たのは、「金融腐蝕列島」1作だけで、他はtvでちょこちょこつまみ食い程度です。「金融腐蝕列島」はかなり良いと思い、こういう映画が日本映画の主流になり、方や、本木さんが出るようなプライベート系単館系も盛んになると良いんだよな、などと当時思った記憶があります。
 とは言っても、群像劇・近代・現代史もので、自分的にヒットした映画・ドラマが無い、という経験則から、過度な期待はせずに見に行きました。
 
 まず、本木昭和天皇、非常に良かった。自分の期待のずっと上をいってくれたと思っています。つい忘れていましたが、考えてみると、記号・象徴のような人物、日常のリアリズムから離れるほどリアリティを増す、という本木さんの適性が、そもそもあったんですよね。かなり飛躍しますが、日比野克彦さんの「北品川四谷線」の異形人間を思い出したりもしました。また、これは本木さんというよりは、原田監督のほうの特徴かも知れないですが、各シーンがCM的簡潔さというか、瞬間の断片を切り取ったものを集めて人物像を感じさせる、みたいな感じで、伊右衛門を連想したりする部分もありました。
 
 映画全般については、監督は、3人を中心とする家族のドラマ、と言っていましたが、部分的に阿南、鈴木、天皇の心の交流をあらわすシーンは描かれていたけれど、そんなにぴんとは来なかった。原作?の「聖断」を読んだ時のほうが、実際に天皇の近くに仕えていた人の気持ち、天皇への普通の愛情というのがわかりやすく、それが伏線になって阿南の切腹もある程度は納得がいったのですが、映画だと、阿南の切腹は、陸軍をまとめるためという理由はあるものの、当時の軍人さんはそんな感じだったのかなあ・・くらいで。
 私はすでに日本人全体では、年齢上の部類に属してはいるとはいえ戦前戦中を知らない人間ですから、戦前戦中の人の天皇の位置づけがは、もともとちゃんとは理解しにくいのもあります。主要登場人物の心のベクトルは、 
・阿南陸将、鈴木首相はじめとする中枢部の人々→天皇(国体?)を守る
・天皇→臣民(日本民族の存続)を守る
・畑中ら叛乱将校たち→純忠の大義(たとえ反乱軍との汚名を受けても戦争完遂)  
・妻などの家族→家族
 だと思いますが、心のベクトルを直接国民(臣民)に向けるのは天皇だけの専権事項で、閣僚らは、天皇を介してのみ、国民(臣民)を考える、という迂回構造、これは、原作(?)でも同様でしたが、実感としてぴんとこない。他の、叛乱将校たちや、銃後の妻たちのベクトルも含め、言葉の綾とか、制度の便宜だけでは無い何かそういう心・・全部を包含する「天皇制のこころ」みたいなものがきっとあったんだろうな、と思うのですが、実感としてはわからない。三島由紀夫(一種の天皇制エロス)や中上健次(被差別からの構造=階級の中間をすっ飛ばして、最底辺の民が天皇と直接心をつなぐ)などで、理屈としてはそうかもな、なんて思っているんだけど、「映像の世紀」などでのヒットラーに熱狂する人々の映像、あっちのほうがわかりやすくて、うわー、とか思ってしまったりするんですよね。日本文化は難しい(笑)。
 で、「家族のドラマ」として描いてくれるということで、新しい発見があるのかな、という若干の期待もあったのですが、今回も体感できずに残念でした。ドキュメンタリー映像など見ると、終戦の時に宮城前で土下座して泣いていたのは、女性のほうが多かったような印象だし、本木さんが主演した中上健次原作のドラマ「日輪の翼」も、おばあさんたちが宮城へ行く話だった。男だけの天皇制では無かったはずなので、このあたりは、どなたか女性監督がやってくれると良いなと、思ったりしています。今後に期待。
雅楽くんは「なんでもっと前から、戦争を終わらせようとしなかったのか?」という疑問を持ったようだと本木さんが言っていましたが、以上が、映画に即発されて思った私の素朴な違和感でした。

 他では、俳優・女優さんたちキャスト、全員がすごく良かったと思いました。人選もさることながら、役者さんの生かし方が上手な監督さんなんでしょうね。
 全体的には、予想したとおり、こういうテーマは難しいんだな、とあらためて思いました。ノンフィクションや小説など文字文化でのスリル、質の良いドキュメンタリー番組の説得力のほうが、どうしても自分には心まで響く傾向にあると感じます。映画ファンというわけでは無いので、そう感じてしまうのだと思う。ただ、良い映画も見たいという気持ちはあるので、そのためにはこういう映画が、日本映画の主流だといいなとは思っています。
 ヒットすると良いですね。

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