ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

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227日間トラと漂流した少年。 なぜ彼は生きることができた?

カナダ人作家ヤン・マーテルが2001年に発表し、世界各国でベストセラーとなる大反響を呼び起こした「パイの物語」を映画化。監督は『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー監督賞に輝く名匠アン・リー。原作小説の壮大なスケール感はそのままに、かつて誰も目の当たりにしたことのない興奮と感動に満ちたサバイバル・ストーリーに仕上がった。

主人公パイ・パテルの成人時の吹き替えを本木雅弘が担当した。


キャスト
スラージャ・シャルマ
イルファン・カーン
タブー
レイフ・スポール
ジェラール・ドパルデュー
本木雅弘(主人公パイ・パテル)
ほか
監督
アン・リー
脚本
デビッド・マギー
音楽
マイケル・ダナ
原作
ヤン・マーテル『パイの物語』
公式サイト
映画「ライフ・オブ・パイ」オフィシャルサイト

評価

評価の平均
(得票数 1)

Comments

1
都 こんぶ 2013-08-14 (水) 05:42

☆私のように、映画館で見逃して、DVD等で見る方もおられるでしょうから、ネタバレを極力避けるために、一部伏字の感想になります。

傑作だと思います。私的にはツボでした。
1.●●サ・●●●ティーの有名なあの作品のようなミステリーサスペンスの要素(この要素では、●ー●●●ル・●●●●ツよりも格段うまいと思う)。
2.おくりびとの要素(「大丈夫、大丈夫、うちは仏教、キリスト教、イスラム教全部対応してるから」、ふぐの白子etc)。
3.プロローグ部分のインドの清冽な異国情緒
4.どこか現実離れした童話・神話的な漂流風景
5.不思議な浮島(BSで10年前くらいにやっていた「ガリバー旅行記」のような奇妙な味の映像)

 本木氏の吹き替えは、初め本木氏の声・口調とは思えなかったです。語尾に「~は」みたいなのをつけてリズムをとる台詞まわしは、真田広之さんなんかが良くやると思うのですが、本木さんでは初めてでしたが、アテレコで口の動きと合わせるためなのか、イルファン・カーン氏の口調を日本語にするとそういうニュアンスになるのか、わからないですが、はじめは「あ、この部分は本木氏じゃあ無いんだな(キッパリ)」と思っていましたから、画面が映りナレーション部分に本木氏のニュアンスがわかった時に、あれあれあれと驚きました。

 本木氏の吹き替えについては、私的には賛否両論です。賛:感情のニュアンスが良く出ていて素晴らしいと思った。否:声がこもっていてプロローグ部分では聞きとりにくく、字幕で見るよりも瞬時にわかりやすいのがまずは声優の仕事だとすると、その役割を果たせていない部分があった。本木氏の声自体、バラエティーなどで聞く限り、ある程度金属音の入った通る声を持っていると思うので、このあたりは、選択の問題だったのかな、と思います。両面兼ね備えるのが理想だと思いますが、本木氏の地声だとイルファンカーン氏の風貌とマッチしなくなるので声を作ったので聞き取りづらくなったという事かも。
 インド人の感情表現は、映画などでもあまりなじみが薄いせいか、良くわからない。一番違うんだなあ・・と思ったのは、成人したPIが、「君はどちらの話が良い?」と作家に問いかけ、「もう君のストーリーなんだよ」と言うシーンのイルファンカーンの表情でした。普通に、平然と、堂々と。日本人俳優だったら、恐らくこのシチュエーションで、こういう表情で演じる人は居ないのでは無いか?インド人というと、数学とか哲学とか思ってしまうのですが、何かこう数学的な感じがして、インド人って日本人とすごく違うんだろうなあ・・と。少なくとも本木氏の演技は、こういう要素と一番遠いと思います。こういう部分の吹き替えは、難しかったでしょうね。
 他には、PIの初恋の彼女が、トラをまねしたときの舞踊的仕草。これも、あっ、違う人たちなんだなあ・・と。好きとか嫌いとかいう以前の、あ、わからないな、って感じで、すごくインドを感じました。

 ミステリーサスペンス性では、前述の●●サ・●●●ティーの有名なあの作品を読み直す人のように(笑)、矛盾が無いかどうか再度見直し、結果、矛盾らしい矛盾は無く、このへんで、●ー●●●ル・●●●●ツよりも格段うまいし緻密だと思いました。
 そればかりでは無く、公式HPをあらためて見たり、いろいろググったりして「リチャード・パーカー」という名前の由来、Thirsty(トラの本名)、ウミガメ(ウミガメのスープというなぞなぞも連想させる)、これらの単語から連想させるものもかなり強烈だし、「トラ」「シマウマ」「ハイエナ」「オランウータン」「水夫」「コック」など、どこか匿名を思わせる単語は、不思議な童話(桃太郎の「イヌ」「サル」「キジ」)のようでもあり、なぞなぞ・クイズ(クイズって「囚人」とか「看守」とか人間を記号化しますね)のようでもあり、それだけでぞくっとさせる何かを感じます。なんだかわからないけど、かなり怖いもの。

 さらに、初見から、「このくだりは謎々なんだよ」と映像でことわられているような、浮島のくだりは、いまだに謎で、2層構造の下に、さらに3層目があるのでは無いか?と考えさせられてしまう。うまくはめられてしまったんですね。ネットでも色々ググって、解をさぐりましたが、島の全景はヴィシュヌ神らしい、という以外は、そうともとれるが自分的にぴったりくる解釈は無く、そのうち自分で気づくチャンスがあるかも、それが自分の解だろう、と思っています。
ちなみに、ミーアキャットとハイエナとトラの、動物分類は、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%AD...
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%8A
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9
浮島は
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%AE%E5%B3%B6

また、それぞれの動物の食は、
 シマウマ:草食、オラウータン:雑食、ハイエナ:雑食、トラ:肉食(のみ)、ヒト:本来雑食だが、PIはベジタリアンなので草食(のみ)
 ☆最終的に、肉食「しか」できないトラと、ベジタリアンのPIのペアで漂流、というのが重要なメタファーとして。

 原作に忠実な映画化だと聞いているので、このへんの謎解きにはさほど役立たなそうなので、ゆっくり苦手な英語で読もうと、原作はペーパーバックを買いましたが、まだほんとのさわりです。
 ググったところによると、原作に無い部分は、少女との恋愛のくだりだけだそうで、したがって「森の中に咲く蓮の花」という少女の台詞、後半の浮島で少女からもらったミサンガを浮島の木にくくりつけるシーンは、映画独自のシーンのようです。また、原作では、歯が入っているものは、「実」(と思って食べようとしたがあまりに軽いのでがっかりした)という描写があるようですが、映画では、前半の少女との会話から、「蓮」を連想=でも生えている場所がちょっと変だなあ?・・と思う人が多いのでは?これも映画化するにあたって、意図した計算のうちなのでは無いか、と思っています。
 日本人の多くは、「蓮」というと仏教を連想すると思いますが、PIには仏教の影響は無かったようだからヒンズー教でしょうが、やはり、蓮は宗教的な花のようです。また、俗には女陰(女陰信仰)のシンボルとしての連想もあると思いますが、ヒンズー教でもあるようです。台湾人のアンリー監督も恐らく同じ連想はあると思われます。
 他に違いというと、エピローグ部分は原作のほうがかなりエグイこと、日本船の名前が
原作は「ツシマ丸」だが映画は「ツィムツーム号」(tzimtzum=ヘブライ語で「縮小」ユダヤ教で宇宙の縮小というような意味)になっている事、重要な部分はそのくらいのようです。成人してからのPIは、ユダヤ教にも深く関わっているようでしたね。
 
 
 なんちゃって葬式仏教、なんちゃって神道、の私、スピリチュアルな傾向も薄い私に、宗教的な部分の理解・共感は、とうてい無理、と、はじめから割り切って、あくまでエンターテインメントとして、でも何か奇妙に惹かれる、ちょっと怖い映画、という位置づけです。ギリシャ神話とか、日本の民話の怖い感じ。それに緻密なミステリー・サスペンス性。
 違う人が見たら、また全く違う感想を持つのだろうな、と、いろいろな人の感想が知りたいと思っています。
 

2
都こんぶ 2013-09-15 (日) 19:45

訂正・補足です

船の名前について、
>原作は「ツシマ丸」だが映画は「ツィムツーム号」(tzimtzum=ヘブライ語で「縮小」ユダヤ教で宇宙の縮小というような意味)になっている事
というのは、間違いでした。

 原作(英語)Tsimtsum/原作(日本語訳)ツシマ丸
で、原作も映画と同じツィムツーム。日本語訳の段階で、ツィムツームでは日本の船とは思えないということで、ツシマ丸にしたということでしょうね。
 こういうのは随所にあるのかな。冒頭のこの本を書くにあたって協力に感謝・・みたいなところで、Oika Shipping Company とあるのは、日本語訳だと「オイカワ海運」でした。

 ところで、ツシマ丸=対馬丸?
アメリカ軍の魚雷で沈没して多数の死者が出た学童疎開船の名前が、対馬丸なんですね。イカダで漂流して救出されたり、無人島に漂着した子供たちも居たようです。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E9%A6%AC%E4%B8%B8
   

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